はじめに
プロジェクト管理やスケジュール管理を行うツールを探す時に、「ガントチャート」という言葉を目にすることがあります。 このページでは、その「ガントチャート」の基本的な情報や使い方について説明していきます。
ガントチャートについて「みんなでガント」を使って説明
ガントチャートとは、ヘンリー・L・ガント(米国のエンジニア)が、1903年に発表した論文を、体系的な管理手法に発展させたものと言われています。
具体的には、 プロジェクト管理やスケジュール、 作業の進捗管理を行うとき、 それらを視覚化して分かりやすくする為に作成する、帯状のチャート(グラフ)のことです。
さらに詳しくガントチャートを見ていきます。下図がガントチャートの全体図となります。
当社の「みんなでガント」を表示しています。全体の左側にある記入部に、作業名称(内容)や作業者の名前、 そして、重要な開始日や終了日、進捗率等を記入します。
その記入した情報を、全体の右側にあるチャート(グラフ)表示部に、工程やタスク毎に作業開始日、作業完了日、 進捗率等の情報を、帯状の線として表したものが、ガントチャートの全体像となります。
「みんなでガント」では、左側で詳細な作業内容の管理と把握を可能とします。 また、右側チャート部の作成の支援、かつ、分かりやすく表示、確認ができるツールとなっています。
ガントチャートの使い道
ガントチャート作成の目的は、プロジェクトの全体像を作業内容と作業者、 それに期間や進捗率などによって可視化し、プロジェクトを成功・完了・完成に導くことにあります。
では実際に、ガントチャートはどのような利用方法が考えられるかご紹介します。
・プロジェクトの計画表・スケジュール表として
プロジェクトの計画、または何らかのスケジュールを立てる際、できるだけ作業毎に 『いつ・だれが・何をする』のかを明確にし、可視化することが大切です。 ガントチャートで計画表やスケジュール表を作成すると、先に述べた情報が一目瞭然となります。 そうすることにより、楽に作業内容や人員の確認、そして、スムーズに計画の変更にも対応できます。
・プロジェクトが開始されたら、進捗管理をまとめる表として
最初にガントチャートを作成したスケジュールの通り、プロジェクトや作業が順調に進んでいるのなら問題ありません。
どこかの作業が遅延しているようであれば、原因を追究し、対策として、後続作業のスケジュールや、
担当作業者の割り振り、作業のやり方などの見直しをします。
これをプロジェクト期間中に、一定サイクルで繰り返します。対策や調整を上手く行うことにより、
プロジェクトや全体の作業の、予定通りの完了を目指します。
・プロジェクト完了後は実績管理として
ガントチャートは、プロジェクト初期時は計画表として、プロジェクト期間中は進捗管理として利用します。 それに加え、プロジェクトや作業が終了後は、実績管理として利用できます。
ガントチャートによる実績を残すことにより、どの時点でどの作業を行っていたかの記録となります。
どの作業が順調に進み、進まなかったのか把握しやすくなります。
ガントチャートの情報は、次の同じようなプロジェクトや作業の計画に、また見積もりに役立たせることも可能です。
せっかく作成したガントチャートです。先行プロジェクトでの問題点を、次に活かすことはとても重要なことです。
上記をまとめますと、計画、進捗、実績、それぞれの場面で上手くガントチャートを活用されることが、 全体としてのプロジェクトや作業のスムーズな進行にも繋がります。
クラウドサービスを使用してガントチャートを作成するメリット
ガントチャートを使用することの一番のメリットは、プロジェクトや作業状況の『見える化』です。
日付や時間が記載された表の上に、作業毎の期間や進捗を、帯状のチャート(グラフ)にて表します。 そのため、これからの作業の予定や、その作業が進んでいるのか、遅れているのかが一目でわかります。
さらに、プロジェクト全体の作業進捗の状況も見渡せるので、他の作業者の状況や、
同時進行している他の作業の状態についても、一目で把握することができます。
それにより、プロジェクトに携わる関係者全員で、進捗状況の共有が可能となります。
また、当社の「みんなでガント」のような、ガントチャートを作成できるクラウドサービスを使えば、 遠く離れた場所で作業している作業者や、リモートワーク、テレワークをしている作業者間でも、 進捗の共有が簡単に行えます。
そして「みんなでガント」は、わかりやすい入力、シンプルなグラフで表すので、ITスキルに関係なく、 どなたでも使いやすくなっています。
クラウドサービスを使用したガントチャートのデメリットへの対策
多くのメリットがあるガントチャートですが、やはりデメリットもあります。
よく言われているデメリットを3つほど紹介します。また、その対策方法についても説明します。
1.作業毎の関係性がわかりにくい
ガントチャートを作成しただけでは、それぞれの作業を並べただけになるので、どの作業同士が関係している作業なのか、 ひと目ではわかりにくくなっています。
2.作業の順序関係(従属関係)がわかりにくい
プロジェクトや作業を行っていくと、当然ながら、その作業の先に行う作業、後に行う作業など、順序関係が発生します。
しかし、作業を並べただけでは、どの作業同士が前後で順序関係となっているか、わかりにくくなっています。
3.問題が表面化しづらい
チャート(グラフ)自体は予定や進捗を表しています。そのため、その期間内で問題が発生しても、 どんな問題が発生して、なぜ遅れているかまでは把握することができません。
●デメリットはありますが、対処の仕方もあります。
上記「1~3.」についての対処についてご紹介します。
「1.作業毎の関係性」は、マスタタスク、サブタスクの機能を使って作成することで、 関係のある作業をグループとしてみることができます。これにより作業の関係性が分かりやすくなります。
「2.作業の順序」は、前後の作業を順々に並べることはもちろんのこと、連結線の機能を使用することで、 より明確に、作業の順序関係を表すことができます。
「3.問題の表面化」は、問題の作業へのコメントの記入や、課題管理などで問題点を挙げていく必要があります。
「みんなでガント」では、「TODO課題管理機能」があります。
この機能を使えば作業毎に課題を記入することができ、起きている問題の確認や、対処した方法なども記録することができます。
以上、デメリットもあるガントチャートですが、各種機能を上手く使っていただければ、対処は可能となっています。
「みんなでガント」とWBSの関係
WBSとは(Work Breakdown Structure)作業分解構造の略です。
一つのプロジェクトを考えたとき、どんな作業があるかひとつひとつ割り出していきます。 そして、割り出した作業の下に、さらにどんな作業があるか割り出していきます。
その関連した作業毎に、細分化した様子を描いた図や、表にしたものがWBSとなります。 このWBSは作業抜けを防止することを目的に作成します。
どの作業まで細分化するかはプロジェクトによって異なりますが、全作業者が作業内容を具体的に把握し、 理解出来るところまで細分化するのが理想と言われています。
そして、WBSは、現在のガントチャート作成時の、データ入力に欠かせないものになっています。
「みんなでガント」の左の入力部分が、このWBSそのものを表しています。
ここへの入力が行われると、
自動的にガントチャートの作成も行われる仕組みとなっています。
《「みんなでガント」では逆に、チャート(グラフ)側からWBS側への自動入力にも対応しています。》
分かりやすいWBSの作成(入力)は、そのままガントチャートのわかりやすさにも直結します。
ガントチャートの使い方
基本的なガントチャートの使い方について、当社の「みんなでガント」を例に記載します。
今回はWBSの入力からガントチャートを作成する方法を紹介します。
最初に、今回のプロジェクトで行われる予定の作業をひとつひとつ割り出していきます。
その割り出した作業の名称を、各行に入力していきます。(修正は容易ですので、入力しながらでも問題ありません。)
できるだけ関係のある作業を前後に配置して入力していきます。
次に、作業毎に予定されている期間の開始日、終了日を入力していきます。
入力が完了すると、右側のチャートに、その期間に応じた棒状の線が自動で表示されます。
このように、左側で入力された内容が、自動的にガントチャートに反映されます。
その後、担当者と、必要なら備考の入力を行って、一行の入力を完了させます。
作業に関連性がある場合はマスタ(親)タスク、サブ(子)タスクの機能を使います。
マスタタスクの下に、関連するサブタスク(実際の作業)がまとまって表示されるので、
ひと目でどの作業が関連しているのか分かりやすくなります。
作業に順序がある場合は連結線の機能を使います。前の作業の続きで、次の作業を行いたい場合などに役立ちます。
やり方としては、後ろの方の作業にて、続けて行いたい前の作業を選びます。
こうすることにより、前の作業から後ろの作業までの連結線が引かれ、それぞれの作業の順序が分かりやすくなります。
「大きな節目」「経過点」「中間目標点」「終了点」など作業の節目に当たる部分ではマイルストーンを使用します。
ここを大きな作業毎の目標とする意味合いもあります。
続いて、プロジェクトが開始された後の使い方です。
作業が進んでいくと、その作業がどれぐらい進んでいるか、把握する必要があります。
そのために、作業毎に進捗率を0~100%で入力していきます。
作業が遅れているようなら、それぞれの作業の、期間などの見直しが必要になってきます。
その時は、WBSの入力部分で日付などを変えるか、
直接チャート(グラフ)を移動させることでガントチャートの修正を行います。
「みんなでガント」ではこれらの作業も容易に行なえます。
以上が、基本的なガントチャートの使い方となります。
「みんなでガント」のようなツールを使えば、楽にガントチャートの作成ができることをお分かりいただけたでしょうか。
ガントチャート作成時のポイント
ガントチャートを作成時、ポイントを抑えることにより、より良く活用する事ができます。
そのポイントの幾つかをご紹介します。
・作業をプロジェクトに見合った規模で管理することが重要
各作業を細分化しすぎると、それらの進捗管理で手間がとられるようになります。
そのため、些細な遅れの対応で、必要以上に調整の時間がかかるようになります。
その時間が逆に無駄な時間となり、それにより作業者のモチベーションが下がることがあります。
・作業計画、スケジュールには余裕を持たせて
プロジェクト開始直後は、進捗も予定どおり進まない場合が多いので、
ある程度余裕を持った作業期間を設定することが大事です。
その後、各作業の進捗を見つつ、スケジュール調整を行い、当初の計画より更に、精度を上げていきます。
・作業毎に『いつ・だれが・何をする』のかを明確にし、可視化することが大切
ガントチャートでは見えない要素として、その作業の難易度や、作業者の熟練度などがあります。
限られた時間や人員の中で、その作業の期間はどうするのか、誰が作業を行うのか、
どんな作業を行うのか明確にする事が重要になってきます。
それらを十分考慮した上で、しっかりと作業の情報を入力していくことも大切なこととなります。